アレクサンダーテクニークとは about

アレクサンダーテクニークについて

私たちが普段何気なく行っている動作は、本当に人間の体の機能や構造の理にかなった、自然なものでしょうか。姿勢がゆがんでいたり、不必要な筋肉の緊張が習慣になっていませんか。
あなたを悩ます腰痛、偏頭痛、肩こり、疲労倦怠感などは、この不必要な緊張状態がいつのまにか常態化してしまったために引き起こされたものかもしれません。無意識に行っている不適切なやり方があなたの能力を発揮する邪魔をするのです。
アレクサンダーテクニークはまず、あなたが普段の生活で無意識に行っているからだの使い方を見直します。無意識に行っていた不適切な体の使い方をやめ、その動作に必要最小限の筋肉を使うことを意識することによって、心と体を不必要な緊張から解放します。

アレクサンダーテクニークは教育であり、治療や施術ではありません。 自分自身の不適切な習慣(体の使い方、くせなど)に気づき、それを自分でやめていく術を身につけるのです。教師はあなたの気づきを促すお手伝いをします。

慢性的な痛みからの解放 〜自然で無理のない身体に〜

  • いつもだるい、疲れやすい。
  • 肩こり、腰痛など、慢性的な痛みがある。
  • 姿勢が悪い。
  • 動作がぎくしゃくしている。
  • 常にストレスを感じている。

こういった問題は、身体の不必要な緊張や不適切な使い方によって、身体機能の働きが悪くなった結果ひき起こされることが多いので、余計なことをやめることで根本的に原因を取り除きます。不適切な使い方が長い間続いたことで、いわゆる「悪い姿勢」として定着してしまうのです。

アレクサンダー・テクニークは、「教育」でありながら、怪我や病気の予防やリハビリ効果があることは、実証されています。 そのため、イギリスやオランダ、ドイツなどヨーロッパの国々では、医師が、痛み・不快感・慢性疾患などにレッスンが必要と判断した場合、治療ではないにもかかわらず、レッスン代が保険から支払われます。 私もイギリスでは何度も自分の生徒さんに、保険の申請のための書類を書きました。

慢性的な腰痛の治療に関しては、STAT(アレクサンダーテクニーク教師協会)と英国医学研究評議会、NHS(National Health Service)が大学や全国の保険医の協力で行った大規模な調査報告が、世界的に権威ある医学雑誌「British Medical Journal」に掲載され、注目を浴びました。これまでにも同様の調査や研究報告は幾度も出され、結果に対してはすでに広く知られていたのですが、2008年のこの報告は、579名の被験者で5年をかけ、かなり綿密な科学的調査が行われたことで、これまで知られていた結果に対して科学的根拠を提出したものといえます。 詳細はこちら

パフォーマンスの向上 ~よりよい表現のために~

  • 楽器を演奏したり、踊るとき、
    余計なところに力が入る。
  • 歌うとき、話しをするとき、
    充分な呼吸ができない。
  • 本番になると、普段の能力が発揮できない。
  • 練習するとき、慢性的な痛みをかかえている。
  • 常にストレスを感じている。

アレクサンダー・テクニークは「人間のリアクション(反応)をコントロールするためのテクニック」「ステレオタイプの反応パターンを変えるための方法」です。自分自身を注意深く観察し、モニターする能力を身につけることで、習慣になっている不適切なパターンに陥るのを防ぎます。

この能力(自分自身を使いこなすテクニーク)は、とりわけパフォーミングアーティストにとって、不可欠なスキルであることから、1960年代半ば以降、欧米の主要な音楽院、ドラマスクールでは正規の授業に入れられています。現在イギリスでは、アレクサンダー・テクニークの講座があることが音楽家、俳優、ダンサーなどの芸術家養成機関が政府に認可される要件のひとつになっています。

習得することによる恩恵

バランス、呼吸機能の改善、自由でなめらかな動き、コントロール能力の向上、スタミナがつき、パフォーマンスが楽になる、声の響きがよくなる、スキルが上がり、自信もつく。

アレクサンダーテクニークを取り入れている学校、養成機関など

  • 英国王立音楽院、王立ドラマスクール、ギルドホールロンドン大学などイギリスのすべての芸術家養成機関
  • ジュリアード音楽院、カーティス音楽院、ワシントン大学演劇科
  • アクターズスタジオ(ニューヨーク)
  • RSC(ロイヤルシェークスピアカンパニー)NT(ナショナルシアター)、グローブ座はカンパニーに専属のアレクサンダー教師がいて、俳優としてのキャリアにかかわらず、すべての俳優やスタッフにもレッスンを提供しています。俳優は、他人の人生を造形するために他人の身体(の使い方もふくめ)を造形します。例えば極端な例を挙げれば、精神を病んだキャラクターを演じることによる精神的ストレス、身体障害を演じるための不自然な動きなど。そこまで極端なキャラクターではなくても、他人の人生を造形することは他人の身体、他人の精神を表現することなので、そこに自分自身との違和感や同化しすぎなどの葛藤が生まれます。それを具体的な方法で処理します。
  • 日本:新国立劇場や劇団青年座の演劇研究所、相愛大学音楽部、東京芸術大学音楽科

からだの調和 こころの調和 無理のない生活 自然な動き

  • 動作がぎくしゃくしている。
  • 人の前ではなぜか緊張してしまう。
  • あがったり、すぐに赤面してしまう。
  • いつも疲れてイライラしている。
  • 本番になると普段の能力が発揮できない。

私たちの生きている現代社会は、なんと多くのストレスや不必要な緊張を私たちに強いているのでしょう。時間に追われ、激しい競争にさらされ、又、洪水のような量の情報にひっきりなしに刺激されているため、横になったり、リラックスしていると考えている時でさえ、本当の意味で心も体も緊張をほどいていないことが多いのです。

心臓が高鳴ったり、冷や汗が出たり、呼吸が困難になったり、声がうわずったり・・・ そんな時例えば「心臓の働きをゆっくりにする」、といったことを直接働きかけることはできません。 冷や汗が出ないように汗腺を直接コントロールすることはできません。しかし、アレクサンダーテクニークは本来人間の持っている協調作用(プライマリーコントロール)がうまく働くようにして、そのような不必要な興奮状態を鎮めます。そのために、レッスンで具体的な新しい感覚の体験を積み重ねるのです。たとえば本番前にいくら「あがらないぞ〜」とメンタルトレーニングを重ねても、「あがらない状態」を知らず、また「あがっている状態」であることを正しく認識しなければ、効果はありません。
レッスンで、「あがっていない状態」「静かな状態」「プライマリーコントロールがうまく働いている状態」を体験し、そこに行くための道筋を繰り返すことによって、自分自身のものにするのです。

このプロセスを通じて本来備わっているこころとからだの調和を再発見することで感覚が磨かれます。現代社会の刺激に満ちた情報の洪水の中でも、受ける刺激に対して自分の反応をコントロールできることで、それに押し流されず、平静さを保つことができるでしょう。 均衡のとれた自然な自分自身の使い方は身体機能全般、健康全般の向上に役立ちます。 滑らかな動き、楽で優雅な動きはスポーツ、芸術からビジネスまで、あらゆる分野でのパフォーマンス能力やプレゼンテーション能力を向上させます。無理がないので、怪我の予防にもなります。

アレクサンダーテクニークの創始者と歴史

アレクサンダーテクニークはオーストラリアの俳優F.M.アレクサンダー(1869-1955)が、自分の身におこった慢性的な発声の問題(声のかすれ、呼吸など)を解決しようとしたことに始まります。 現在では欧米の主要な芸術家養成機関の正規科目となり、パフォーマンスアーティストをサポートしています。また、俳優や音楽家だけでなく、ストレスや過緊張といった、身体的、精神的、心理的な障害に悩む多くの人々の問題解決に役立っています。 アレクサンダーテクニークは治療ではありませんが、イギリスを始めとしてヨーロッパでは、医師がATのレッスンを必要と認めた場合(痛み、不快感、慢性疾患など)、その費用が保険から支払われる国もあります。

レッスンを受けた著名人

俳優

ジュリー・アンドリュース、ケネス・ブラナー、ウィリアム・ハート、ケヴィン・クライン、 マイケル・ケイン、ポール・ニューマン、ロビン・ウィリアムス、ジュディ・デンチ

音楽関係者

コリン・デイビス、ポール・マッカートニー、リンダ・マッカトニー、スティング

作家・思想家

ジョン・デューイ、アルダス・ハックスレイ、ジョージ・バーナード・ショウ

テクニークを使い独自のメソッドを考案した人たち

モシェ・フェルデンクライス、レイモンド・ダート教授

その他

幾人かの英王室のメンバー

学者/科学者

ニコラス・ティンバーゲン
*ノーベル生理学医学賞受賞 その授賞式のスピーチでアレクサンダーテクニークの業績を紹介

*過去主要メディアに取り上げられたものの中から選びました。

関連書籍

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